飢えない価値観

不透明な社会の中で「飢えない生き方」を模索する雑記ブログ

蟲毒システム①

前回は「飢え」が人間の発展の原動力になると書きました。
(飢えるとはなにか②~飢えが人の原動力になる~参照)

人間は、食料や知識・技術などの慢性的な欠乏を解消しようと、もしくは他のもので補おうとするために行動することにより文明を発展させてきました。

 

そして今日、人間はこの飢えを社会システムに取り入れることで、安定的に成長・発展し、集団を安定させ、秩序を作り上げています。

 

今日はわたしが「蟲毒(こどく)システム」と呼んでいる飢えを基にした社会システムの一例について書きたいと思います。(個人が勝手につけた名称です)

 

 

 

蟲毒

 

蟲毒(こどく)というものをご存じでしょうか。

オカルトや呪術などがお好きな方は、一度は聞いたことがあると思います。

 

蠱毒(こどく)とは、古代中国において用いられた呪術を言う。動物を使うもので、中国華南の少数民族の間で受け継がれている。蠱道(こどう)、蠱術(こじゅつ)、巫蠱(ふこ)などともいう。  

                        Wikipediaより引用

 

 

具体的な方法としては

一、 ムカデ、ヘビ、カエル、サソリなど毒性の強い数種類の蟲を用意する

二、 これらを何も入っていない容器に一緒に入れ封をする。

三、 しばらく放っておくと蟲達は飢える。飢えた蟲は共食いを始める。

四、 最後の一匹が残る。この蟲を最も毒性の強いものとして祀り、その毒を採取する。

五、 この毒を飲食物に混ぜ、暗殺などに用いる。また、蟲そのものを暗殺に用いる場合もある。

方法は諸説あり

 

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 蟲毒とは簡単にいうと、人工的に飢えの状態を作り出し、弱肉強食の中、互いに生存競争をさせるという方法で、その勝者を呪いとして用いることです。

古代中国を描いた漫画「キングダム」(原泰久週刊ヤングジャンプにて連載)の中でも、蟲毒は暗殺術として登場します。

この蟲毒ですが、あまりに強力なため禁術として扱われたという逸話もあるほどです。

 

さて、この蟲毒の要素を取り入れたのが蟲毒システムになります。

 

 

蟲毒システム

 

蟲毒は、「飢え」を利用してより毒性の強いものを勝者と祀り上げ、その勝者を呪いに用いるというものでした。

ここで重要なのは

人工的に「飢え」た状況を作り出し勝者を決める

という点です。そして

この方法ではより毒性の強いものが生き残る

ということです。この二つが蟲毒の重要なファクターとなります。

 

実は、私たちが競争と呼んでいるもののうち、勝者が敗者を飲み込む、勝者が敗者を好きなようにできる

という場合この蟲毒システムが発動している場合があります。

例えば

 

〇出世競争において勝者が人事権に大きな影響力を持つ

 

〇とある新規産業でのシェア競争に敗れたA社はB社に買収された。

独占禁止法があるとはいえたいていの産業は寡占化が進みます)

 

などというのも、負けたら身の危険が迫るという飢え状態の中で、勝者が敗者の様々なことに対しての決定権を持ちますから

「相手を飲み込む」ことになります。

そして大事なのは、

規制がない競争の場合、力の強いもの、中でもより狡猾なほうが、

つまり毒性が強いほうが生き残ることになります。

 

 

規制緩和と自由化からの競争促進

 

一時、私たちの国でも「規制緩和」や「民営化」「自由化による競争の促進」

と声高に叫ぶ人が現れました。

彼らは新自由主義者と呼ばれていますね。

彼らの理屈では、競争によってより全体のためになるものが勝ち残る、競争はより良いものが残るとなっています。さらに規制緩和、自由化によって小さな規模の会社も新規参入できるということも言っていました。

しかし、実態はどうでしょうか。

しっかりとしたルールや規制がない場合の競争は蟲毒システムが発動します。

そこで勝ち残るのは力の強いもの、狡猾なもの、毒性の強いものです。

つまり大資本で、尚且つ働いている人に無理を強いるような毒性を持ち、さらに平気で嘘をつくような組織が、蟲毒よろしく他のものを飲み込んでいくのです。

今、民営化した組織も同じようになってはいないでしょうか。

 

競争といえば聞こえはいいですが、実際は飢えた者同士の醜い争いになっているのが

今の経済全体の実態ではないでしょうか。

「飢え」の状態で発動する「蟲毒システム」が私たちの社会の生きづらさを増長させていると、私は考えます。

 

本来の蟲毒は呪いです。

蟲毒を取り入れるということは社会全体が呪われてしまうといっても過言ではないかもしれません。

 

 

次回はこの続きですが、蟲毒システムをスポーツマンシップの面から考えてみたいと思います。