飢えない価値観

不透明な社会の中で「飢えない生き方」を模索する雑記ブログ

成功者ビジネス・不安ビジネスに騙されない

このブログ内で、度々少数優位のヒエラルキー構造についてお話させていただきました。

多数が少数を目指すことによりヒエラルキーは強固になります。

しかし、この多数が少数者と同じ境遇になることは、ヒエラルキー構造の崩壊を意味します。

従って、少数者は多数の人々に、「自分たちのようになれ」「自分たちを目指せ」といいながら決して届かないように嘘をついたりします。

この構造のものに成功者ビジネス・不安ビジネスがあります。

今回は、このヒエラルキー構造を利用した成功者ビジネス・不安ビジネスについてお話したいと思います。

 

成功者とは

 

 

この社会には、成功者と呼ばれる人がいます。

なにをもって成功とするかは本来人それぞれです。

自分でたてた目標を達成した人、失敗しても挑戦できた人、一つの仕事に打ち込めた人、好きな人と付き合うことができた、毎日がただ平穏である、など成功の定義は様々です。

しかし、今の社会では、有名になった人、お金をたくさん稼いだ人、メジャーな分野でなにか実績を残した人を成功者と呼んだりします。

実体はヒエラルキー上位者で間違いないと思われます。

何かのカテゴリーで人気上位1%に入るとか、その分野で上位1%以内の稼ぎがあるとか、そういった人が成功者と思われているのではないでしょうか。

例えば、プロ野球選手は全野球選手人口の1%にも満たない人しかなることはできません。

他にも、ホストクラブで生活が成り立つぐらい稼げるのは全体の3割程度で、テレビなどで取り上げられるほど稼ぐホストは、これも1%程度です。

特に人気商売といわれる職業ほど、この成功者少数の傾向は顕著です。

大学受験にしたって、東大に合格するのは、受験生といわれる人達の1%にも満たないでしょう。

前回、ヒエラルキーが価値を生み出すということについて取り上げましたが、彼らは少数であるがゆえに価値があると思われているのです。

人はたいていの場合、希少なもの、普遍的なもの、比較できるものに価値を見出すからです。

 

 

成功者ビジネス

 

 

 

この希少性に価値を見出す人間の価値観を利用したビジネスに成功者ビジネスがあります。

私が勝手につけた名称なので分かりにくいかもしれませんが、

 

「私のような成功者にならないといけないよ」

 

「一生負け組でいいの?」

 

「成功者になるためのノウハウを教えますよ」

 

と相手を不安にさせ、羨ましがらせたうえで

情報教材や、会員制の集会(サロンとか言ったりします)に入会させ会費をとったり、

有料会員向けのメール講座や、実際のセミナー等でお金を稼ぐビジネスです。

思い当たるところはないでしょうか・・・

 

成功者ビジネスをする彼らの特徴はざっとこうなります

 

〇彼らが成功者であると一目でわかるような外見をしている。

 

最近は、一昔前のように、高級ブランドの洋服やスーツをかっこよく着こなすかんじでは無く、Tシャツにジーパンといったカジュアルな服装が一般的ですが、時計や靴など細かいところに高価なものを選んでいます。

ワインを飲んだり海外のリゾートにいるなどの情報もよくだします。

また、定期的に高額プレゼント企画などをするかもしれません。

このように自分は特別だ、価値のある人間なのだと暗に印象付けようとします。

 

 

〇不安な情勢を語り、生き残るために成功しなくてはと不安感と焦燥感を与える。

 

実際、今の社会は不安で溢れています。正社員ですら終身雇用は危うい状況です。

彼らは巧みな話術でその状況を語り、不安を煽ります。もしくは一般の人間をさりげなく落とし不安にさせます。

しかし、不安だからセーフティネットをつくろう、団結しようという考え方はしません。

あくまで、勝ち負けや優劣で差をつけ、成功者だけ生き残ろうというスタンスです。

 

 

〇ノウハウを学べば私たちにもできると吹聴します。しかし、そのノウハウは簡単には教えてはくれません。

 

無料である程度までは動画サイトやブログで公開していたりするので見てみると面白いです。

今まで書いたような、不安や焦りを煽る内容、ノウハウを学べば誰でも成功者になれるといった内容はもちろん無料で公開してあります。これもコピーライティング技術の一つなのです。しかし肝心な部分、実際に何をしたらいいのか、どういった心構えが必要なのかはあかしません。

知りたければ、この情報教材を・・・となったりします。

当然ですが、このノウハウを小出しにして儲けを得ようとするのが成功者ビジネスだからです。

 

 

〇私は成功者なので儲け目的ではありませんと念をおしてくる。

 

彼らの情報の信憑性と価値を高めるためにこう言います。実際に儲け目的ではないのなら無料で公開すればよいのですが、それはしないようです。

自分が成功者だと謳い、価値が高い人であるかのように思い込ませ、信者をつくりその信者からお金を得ようとするのが成功者ビジネスです。

たいていが宗教的なヒエラルキー構造をしています。

 

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さて、実際に教材を購入したり、セミナーに参加したことが無いので、私にはわかりませんが、参加者は実際に成功しているのでしょうか。

主催者である彼らは実際の成功例をいくつかあげてみせるとは思います。

誰でもというわけではありませんが少数ならいるのかもしれません。

しかし肝心な部分を忘れてはいけません。

それは、ヒエラルキーは少数優位がなくなれば崩壊するという事実です。

彼らはヒエラルキーをつくり、自分に価値がある、自分は成功者だと思わせているのです。

彼らは成功した1%でなければなりません。周りが同じように成功し残りの99%と同じになったら、彼らに価値はなくなってしまうのです。

つまり本音では成功されては困るのです。

自分と同じような人間が大量複製されても困るだけです。

ねずみ講でいうところの親ネズミでなければならないからです。

「自分のような成功者になれ」と吹聴する人間にとっての成功が絶対的少数である1%以下の人間を指す場合は注意が必要です。

もし「人格者になれ」であれば皆が人格的に優れた人間になったところで、世の中が明るくなるだけですが、少数者を目指せであれば、やはり構造的に無理があります。

多数者は少数者にはなりえないからです。

 

 

不安ビジネス

 

 

上で挙げた成功者ビジネスは、成功者本人が登場しているため、まだかわいいものであると私は思います。

この成功者ビジネスの本質は、相手を不安にさせて、という部分です。

相手を不安にさせて購買意欲を刺激する、これらのビジネス全般を不安ビジネスといっても誇張ではないのではないでしょうか。

成功者ビジネスも不安ビジネスの一種です。

ですが、世の中にはかなり巧妙に隠された形で不安ビジネスがはびこっています。

コマーシャリズムの多くが不安ビジネスの要素を持っています。

不安が慢性的になればそれは飢えになります。

不安ビジネスとは相手を飢えさせてお金を儲けようとするビジネスといってもいいと思います。

不安ビジネスがはびこればはびこるほど、人は飢えに対して鈍感になっていきます。

例えば、通勤に必要だから車を購入する。これは一般的なものです。

しかし不安ビジネスでは通勤に車が必要ない人に

「周りの人間も持っているのに持っていないのは恥ずかしいよ」とか

「車を持ってないなんて貧乏人だと思われてしまいますよ」

といった形で不安を煽ります。そして購買意欲をそそるのです。

 

 

 

成功者ビジネス・不安ビジネスにのらない

 

 

 

私は、たとえ彼らの言う成功者になれなくても、負け組と言われても、

または買わなかったことで貧乏人だと思われたとしても、成功者ビジネス・不安ビジネスにのらないという決意を持つべきであると考えています。

それが飢えない価値観につながるからです。

購入するときは「必要だから」買い、買った後は、たとえ他の所でもっといいものがあったとしても「必要だからこれでよかった」とし「いいお金のつかい方をした」とすればいいのです。

成功者が1%未満の少数者であるとするならば、そこに自分も入らなければならないと不安になることが間違いなのです。それは飢えた価値観です。

まるで、当選確率1%以下の宝くじが当たらないと人生が終わりだと考えるようなものです。

何かを頑張っていたら上位1%にはいっていたというのならいいのです。

飢えの感情とは無関係ですから。一つの道を究めることは素晴らしいことです。

しかし、ヒエラルキー構造が作り出す価値観にとらわれてはいけないと思います。

それは生き残るために他者を出し抜き喰らう蟲毒の思想です。

たとえ社会的に成功者でなくても、負け組でも、「自分は成功した」とか「生きていることは成功すること以上のものだ」と考えられたらそれでいいのです。

そう思ってやるべきことに邁進していったほうが、宝くじが当たらないことを嘆くよりよっぽど有意義であると思います。

 

今回もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。